大西政太郎先生の思い出③

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ゼーゲル式の次はなんだったのかなと思って、出てきたノートを見てみると、原料別の調合の割合の変化となっていますね。

長石〇〇%石灰〇〇%カオリン〇〇%珪石〇〇%とかいう配合比をどう変えていくかという感じです。

で、その配合がゼーゲル式の性状図のどこにくるか、という感じで考えています。

これを性状図というらしい

なんと、ゼーゲル式に則って説いてられる。

てっきり、今の記憶では「陶芸の釉薬」の本に出てくるように、原料の比率を変えて、その調合がどういう感じになるかというふうに教えていただいたような気がしていましたが、まったく30年も経てば、あるいはその前からか思い込みというのは恐ろしいです。

で、その授業が終わって個人的に土石合わせの釉薬ではなく、「灰釉」の研究に進んでいくのですが、これも「灰釉は石灰釉ですよ」的なことがはじめの方のノートに書いてある。

今になってわかることですけど、「灰釉」に使う草木灰というのは実に安定しないわけです。例えばクヌギやったらクヌギ、松やったら松。それぞれ微妙に違うんです。もちろん同じ木の種類でも生えているとことかで、成分も違うのではないかなと思います。だから学校なんかでは、そんな安定しないものなんかは相手にできないのです。
それで、その安定しない灰を理解するために、塩基性をタイプ別で整理して考えるということやったと思います。例えば石灰釉とか石灰苦土釉とか石灰バリウム釉ではどうなるかなどです。おそらく「灰」の中にはそれらのものが、ほぼ全部含まれているのではないでしょうか。
そんなこともわかっていなくて「やっぱり釉薬は灰釉だよね」と考えている生徒に対して、「あほなやつやな、こいつは」と思っていたでしょうね、大西先生は。

で、そこそこ多いテストピースを作ってわかったことは、
「灰にはいろいろあるわ」
ということでした。
そして長石7:灰3の調合が王道ということです。

釉薬の調合の本で、どうしてそうなるのかという考え方まで含めて書いてあるのは大西先生の本がダントツで他にはないんじゃないかと思います。
あれば教えてください。

ただ、約30年が経って自分が経験してきたことから考えると、「大西先生的釉薬の考え方」とまったく違った考え方があるのではないか、と思うときがあります。
もっと有機的というか、目から鱗の感じの考え方です。
まあ、こちらは大西先生のマントラに捉えられているので、なかなかそこにはいけないみたいなのですが、そのマントラの向こうにチラチラ見えるような気がします。でもね、大西先生の授業を受けれてよかったなあと、しみじみ思います。

先生、ありがとうございました。

今日はここまで。

最後まで、読んでいただきありがとうございます。